店や事務所の商圏が限られているとき、全国や広い地域に向けた広告では、費用の多くが商圏の外に流れてしまいます。そこで検討されるのが、地域に絞って出す広告です。ただ、「地域 広告」といっても、ポストに入れるチラシから、新聞に挟む折込、スマートフォンに表示する広告、検索結果の地域指定まで、選択肢は幅広くあります。この記事では、地域に絞って広告を出す方法を、紙とデジタルに分けて整理し、絞り込みの細かさ、目的別の選び方、組み合わせの考え方、計画の進め方を紹介します。特定の手段を勧めるのではなく、自分の商圏に合った選び方の物差しをつくることを目的にしています。
地域広告とは、広告が届く範囲を、特定の地域やエリアに絞って出す広告の総称です。特定の言葉があるわけではなく、「地域の広告」「エリア広告」「地域限定広告」などの呼び方も、ほぼ同じ意味で使われます。
地域に絞る目的は、おもに二つです。ひとつは、商圏の外に広告費を使わないこと。来店できる範囲の人に絞れば、無駄な配信が減るといわれています。もうひとつは、地域の事情に合わせた内容を届けられることです。地域限定の催しや、その街ならではの案内を、その街の人に届ける場面で意味が出ます。
ただし、絞ればよい、という単純な話ではありません。絞りすぎると届く人が足りなくなり、どの手段で絞るかによって、届く相手の顔ぶれも変わります。次の節から、手段ごとの違いを見ていきます。
地域に絞って出せる広告は、届け方で、紙の施策とデジタルの施策に大きく分けられます。
このほか、交通広告や看板、地域情報誌への掲載など、場所や媒体にひもづく地域広告もあります。この記事では、住宅や人に届ける上の6つを中心に比べます。
| 手段 | 絞れる単位 | 届く相手 | 向く目的 |
|---|---|---|---|
| ポスティング | 町丁目などの地理的な単位、住宅タイプ | 配布エリア内の住宅・事業所のポスト | 地域を町丁目などの細かい単位で絞って周知したいとき |
| 新聞折込・フリーペーパー折込 | 販売店や媒体の配布エリアの単位 | 購読世帯、またはフリーペーパーの読者 | 販売店や媒体の配布エリアを単位に、購読層へまとめて届けたいとき |
| 街頭での手渡し | 駅前・商業施設前など場所の単位 | その場にいる通行人 | サンプルや体験とあわせた認知づくり |
| ダイレクトメール | 個々の住所の単位 | 宛先として決めた個人・法人 | 住所のリストで届け先を決め、個別に届けたいとき |
| ジオターゲティング広告 | 決めたエリアや訪れた場所など、位置の単位 | そのエリアにいる人、訪れた人 | 店舗周辺での案内、来訪後の再接触 |
| 検索・ディスプレイ・SNS広告の地域設定 | 市区町村などの行政区分、または地点を中心にした範囲 | その地域にいる、または関心を持つ利用者 | 地域名での検索への対応、地域限定の告知 |
(読み方: まず「届く相手」が自社の狙いと合っているかを確かめ、次に「絞れる単位」が自社の商圏の広さと合うかを見ます。金額の比較ではなく、相手と単位の合い方で候補を絞る表です。)
地域に絞るといっても、「どれくらい細かく絞れるか」は手段によって大きく違います。この違いを知っておくと、商圏の広さに合う手段を選びやすくなります。
ポスティングは、町丁目などの地理的な単位で配布エリアを決められるのが特徴です。同じ市区町村の中でも、戸建てが多い地区と集合住宅が多い地区に分けて配るなど、細かな設計ができます。折込は、新聞販売店や媒体の配布エリアが単位になるため、町丁目より粗い絞り方になります。そのかわり、購読している世帯に一斉に届く強みがあります。
ジオターゲティングは、位置情報をもとに、決めた場所を中心にしたエリアや、特定の施設を訪れた人といった、「位置」を単位に絞ります。検索広告などの地域設定は、市区町村や都道府県といった行政区分が中心で、設定できる細かさは配信の仕組みによります。どの手段も、「絞れる単位」と「実際に絞ったときに届く人の数」が両方そろってはじめて意味が出ます。
なお、居住地で絞る施策(ポスティングや折込)は、そのエリアに住む人に届きます。位置情報で絞る施策は、そのエリアに今いる人、訪れた人に届きます。住んでいる人と、通勤・通学・買い物で来る人とでは顔ぶれが違うため、駅前の店舗のように人の流れが大きい場所では、この違いが効いてきます。
手段の特徴が分かったら、次は目的から逆算して絞り込みます。目的は、おおまかに認知、来店、問い合わせの3つに分けて考えられます。
認知を広げたい場合は、商圏の世帯に広く、継続的に届けられる手段が合います。ポスティングや折込のように、エリアの世帯にまとめて届く施策が中心になります。地域に新しくオープンする店や事業所の告知も、ここに当たります。
来店につなげたい場合は、店の近くにいる人、店を訪れた人に届ける手段が向きます。街頭での手渡しで接点をつくる、ジオターゲティングで店舗の周辺にいる人に案内を表示する、といった組み合わせが考えられます。クーポンなど、来店のきっかけを添える工夫も、よく使われます。
問い合わせを増やしたい場合は、必要なときに思い出してもらえる状態をつくることが重要です。住宅の修繕や学習塾のように、検討に時間がかかる商材では、紙で一度認知してもらい、あとから別の形で繰り返し接触する設計が選択肢になります。ダイレクトメールのように、宛先を絞って詳しい案内を届ける手段も、この目的で使われます。
目的が一つに決まらないことも多いので、まずは優先順位をつけます。優先するものを決めたうえで、手段を選ぶと、迷いにくくなります。
地域広告の組み合わせとして、よく検討されるのが、ジオターゲティングとポスティングです。届き方の単位が違う二つを重ねることで、補い合う関係になります。
ポスティングは、配布エリアの「世帯のポスト」に届きます。ジオターゲティングは、そのエリアに「いる人」「訪れた人」のスマートフォンなどに届きます。ポスティングだけでは、そのエリアの外から通勤や買い物で来る人には届きにくく、ジオターゲティングだけでは、位置情報の利用を許可していない人や、スマートフォンを使わない人には届きません。両方を重ねることで、それぞれの届かない層を補えるのが、この組み合わせの考え方です。
組み合わせ方は、時期の置き方で大きく二つあります。ひとつは、同じエリアで、時期をずらして出す方法です。ポスティングで認知してもらい、その後の期間に、同じエリアでジオターゲティングを出して再想起を促します。もうひとつは、同時期に出す方法で、期間限定の催しなど、同じ時期に紙と画面の両方で接触を重ねたい場面に向きます。どちらが合うかは、商材と目的、検討にかかる期間によって変わります。
反応の見方は、注意が必要です。ポスティングの反響は、問い合わせの数や、チラシに載せたクーポンの利用などで測ることが多く、ジオターゲティングの結果は、表示された回数やクリックされた回数などで報告されることが多いといわれています。見方が違うため、まず「問い合わせ」や「来店」といった共通の目的を決め、それに対して両方の施策がどう関わったかを同じ軸で見られるよう、事前に設計しておくことが大切です。そのうえで、「どちらのほうが低コスト」「どちらのほうが効果が高い」といった断定は、前提が揃っていないと意味を持たないため、慎重に捉える必要があります。
エリアによって、この組み合わせの向き不向きは変わります。戸建てが多く、世帯への投函が届きやすいエリアでは、ポスティングが土台になります。投函しにくい集合住宅が多いエリアや、昼間の人の出入りが大きいエリアでは、位置を軸にした配信の役割が大きくなることがあります。当社が公開しているエリアページでは、市区町村ごとの商圏データにもとづいて、ポスティングやジオターゲティングを含む11の施策との相性を示しています。まず方向性をつかむ入口としてご覧ください。配り方の整理はチラシ配布とはの記事も参考になります。
地域に絞る広告の計画は、粗い単位から細かい単位へ、二段階で絞っていくと進めやすくなります。
第一段階は、市区町村などの広い単位での見極めです。どの市区町村に商圏があるのか、その市区町村の世帯構成や人口の動きから、どんな施策が合いそうか、おおまかな方向をつかみます。ここでは、公開されている商圏データが役立ちます。施策ごとの相性の考え方は、エリアマーケティングの手法で整理しています。
第二段階は、町丁目などの細かい単位での絞り込みです。同じ市区町村でも、地区によって世帯の特徴は大きく違います。ポスティングの配布エリアや、ジオターゲティングで配信する場所を、より細かい単位で決めていきます。市区町村単位のデータを細かい単位の検討につなげる考え方は、市区町村単位のデータから町丁目へで紹介しています。
計画のなかで、組み合わせる施策の数が増えるほど、「誰に、いつ、どの順で届くか」を整理する作業が重要になります。重なりすぎると無駄が出て、離れすぎると届かない層が残ります。個別の配布の考え方は、ポスティングの効果的な配り方の記事も参考にしてください。
地域に絞る広告は、手段の数が多い分、どれを選ぶかの判断が難しくなります。
当社は、ポスティングや新聞折込、街頭配布・サンプリング、ジオターゲティング広告をはじめ11の媒体を横断して、エリアと目的に合った組み合わせを設計する立場です。特定の手段に決め打ちせず、届けたい相手と商圏から逆算してご提案します。ご予算とご希望のエリア、目的をお知らせいただければ、そこから検討を始められます。
地域に絞って広告を出す方法には、ポスティング、折込、街頭での手渡し、DMといった紙の施策と、ジオターゲティングや、検索・SNS広告の地域設定といったデジタルの施策があります。絞れる単位と届く相手が手段ごとに違うため、目的と商圏の広さから逆算して選ぶことが近道です。単独で完結させず、紙とデジタルを補い合う形で組み合わせることも、有力な選択肢になります。
ジオターゲティング広告そのものの仕組みは「ジオターゲティング広告とは」で、紙の配り方の全体像は「チラシ配布とは」で詳しく説明しています。
紙の施策としては、ポスティング、新聞折込、街頭での手渡し、ダイレクトメールがあります。デジタルの施策としては、位置情報を使うジオターゲティング広告や、検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告の地域設定があります。絞れる単位や届く相手が違うため、目的に合わせて選びます。
意味はありますが、エリアを絞りすぎると配信できる機会が減るため、エリアの広さと期間の兼ね合いが重要です。商圏が小さい場合は、紙の施策で認知を作ったうえで、デジタルで補う形も選択肢になります。
どちらが必須ということはなく、目的や商材によって変わります。紙は世帯やポストに、デジタルはその場にいる人に届くという違いがあり、補い合える場面が多いため、併用が検討されることは多くあります。まず目的を決めてから、必要に応じて組み合わせるのが無理のない進め方です。
まず、届けたい相手と商圏の広さ、そして目的(認知・来店・問い合わせのどれを優先するか)を決めます。手段から入るより、この3点を整理してから手段を選ぶほうが、選び間違いを避けやすくなります。整理が難しい場合は、お問い合わせください。