商圏分析・エリアマーケティングの基礎

市区町村単位のデータから町丁目へ — エリアを絞り込む実務

商圏分析やエリアマーケティングについて調べていると、「もっと細かい単位でエリアを見たい」という声によく出会います。実際、市区町村という単位は、ひとつの都市の中でも駅前と郊外住宅地では性格がまったく異なることが多く、これを一括りにすると実態が見えにくくなる場面があります。一方で、細かい単位のデータを誰でも見られる形で公開することには、別の配慮も必要になります。本記事では、当社が採用している「公開は市区町村単位、実務ではより小さな単位で分析」という二段構えの考え方を整理します。

なぜ市区町村単位で公開しているのか

当社がエリアページで公開している商圏データ(世帯構成・年齢層・持家率・平均年収など)は、市区町村単位のものです。これは、エリアの特性を確認していただく入り口として、まず分かりやすい単位で全体像をつかんでいただくことを目的としています。市区町村単位のデータであれば、どの都市のどのエリアにどのような傾向があるかを、比較的シンプルに把握できます。

一方で、より細かい単位(町丁目など)のデータをそのまま公開することは行っていません。細かい単位になるほど、そのデータが特定の狭い範囲を指し示すものになり、扱いにはより慎重さが求められるためです。当社としては、まず市区町村単位の公開データで大まかな方向性を確認いただき、実際に案件として検討が進む段階で、より細かい単位での分析に進む、という二段階の流れを採用しています。

粒度別に分かること・分からないこと

都道府県・市区町村・町丁目という3つの粒度で、それぞれ何が分かり、何が分からないのかを整理すると、以下の表のようになります。

表1: 粒度別に分かること・分からないこと

粒度分かること限界当社での扱い
都道府県広域での傾向(人口規模・都市化の度合いなど)の大枠エリア内の差が大きすぎて個別の施策検討には粗すぎる参考情報としてのみ言及
市区町村世帯構成・年齢層・持家率・平均年収などの傾向ひとつの市区町村内でも駅前と郊外では性格が異なる場合があるエリアページで公開・施策相性評価の基礎データ
町丁目より狭い範囲での世帯特性・地域性の違い公開すると特定の狭い範囲を指し示すことになるため取り扱いに配慮が必要公開データとしては扱わず、実案件の相談段階で個別に分析

(読み方: 粒度が細かくなるほど「分かること」は具体的になりますが、同時に扱い方への配慮も必要になります。当社は市区町村単位を公開の基準とし、それより細かい単位は実務の相談の中で扱っています。)

粒度別に分かること・分からないこと

都道府県単位は、そもそも一つの単位に含まれる範囲が広すぎるため、個別の施策を検討する材料としては粗すぎます。市区町村単位になると、世帯構成や年齢層、持家率、平均年収といった、施策選定に直接役立つ指標を確認できるようになります。当社のエリアページで公開しているのはこの粒度です。町丁目単位になると、同じ市区町村内でも駅前エリアと郊外住宅地の違いといった、より具体的な地域性が見えてきますが、この粒度のデータをそのまま公開することはしていません。

町丁目単位の分析が効く場面

市区町村単位の分析だけでは判断がつきにくい場面があります。たとえば同じ市内でも、駅前の商業地区と郊外の住宅地とでは、世帯構成も生活動線もまったく異なります。こうした市区町村内での差が大きい場合や、配布エリアをより絞り込んで効率的に展開したい場合には、町丁目など、より小さな単位での分析が有効になります。

具体的な案件のご相談をいただく段階では、市区町村単位の公開データで大まかな方向性を確認したうえで、より細かい単位での分析に進み、実際に配布・展開するエリアを検討していくことが可能です。この段階的なアプローチにより、公開データとしての分かりやすさと、実務における精度の両方を確保しています。より細かい単位で絞り込んだエリアに対してどの施策を選ぶかという接続の考え方は、「エリアマーケティングの手法」で整理しています。

二段構えの活用法

エリアの検討を進める際は、まず当社のエリアページで市区町村単位の商圏データと11施策の相性評価を確認し、自社の商材と相性のよいエリアの傾向をつかむことをおすすめします。そのうえで、具体的な案件として進める段階になったら、より細かい単位での分析についてご相談いただく、という順序が効率的です。市区町村単位の情報だけで方向性を絞り込み、実際の配布計画の詰めの部分でより細かい分析を活用する、という使い分けです。

なお、当社は商圏分析のためのGISツールそのものを提供する立場ではありません。あくまで販促施策の実施・提案を行う事業者として、必要な範囲で商圏データを分析・活用しています。ツールの選定そのものにお悩みの場合は、一般的な商圏分析ツール(GISシステムや統計データの可視化ツールなど)も選択肢として存在しますが、当社では特定の製品を比較・推奨することは行っていません。

まとめ

市区町村単位のデータは、エリアの特性を把握する入り口として分かりやすく、公開情報として扱いやすい粒度です。一方で、より細かい地域性を踏まえた施策の検討には、町丁目などのさらに小さな単位での分析が有効になる場面があります。当社では、公開は市区町村単位、実務での深掘りはより小さな単位で、という二段階の考え方を採用しており、エリアページの確認から具体的な相談まで、段階を踏んでご案内しています。

商圏分析全体の考え方については「商圏分析とエリアマーケティングの基礎」を、具体的な分析の進め方については「商圏分析のやり方」をあわせてご覧ください。

よくあるご質問

なぜ町丁目単位のデータは公開していないのですか?

細かい単位になるほど、特定の狭い範囲を指し示す情報になるため、公開の扱いにはより慎重さが求められます。当社では市区町村単位を公開の基準とし、より細かい単位は実際の案件のご相談の中で扱っています。

市区町村単位のデータだけで判断してもよいですか?

まずは市区町村単位のデータで大まかな方向性をつかむことができます。同じ市内でも駅前と郊外で性格が異なるなど、より詳細な判断が必要な場合は、町丁目など小さな単位での分析にご相談の中で進みます。

GISツールの導入は必要ですか?

商圏分析にはGISツールなどの手段が一般に存在しますが、当社はツールの提供・比較・推奨を行う立場ではありません。販促施策の実施を前提に、必要な範囲で商圏データを分析・活用しています。

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