DMのデザインというと、色や写真、フォントの選び方を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、DMのデザインの出発点は、誰に、何を伝え、どんな行動をしてほしいのかを決めることです。見た目を整えるのは、そのあとの作業になります。この記事では、DMを出す側が、デザインで何をどの順に決めるかを整理します。圧着はがきなど紙の形の選び方にも、後の節で触れます。
DMの出来ばえは、デザインの前に決めた内容に左右されます。まず、相手・目的・反応の3つを言葉にしておきます。
この3つが決まっていないと、デザインの良し悪しを判断する基準がなくなります。「なんとなく目立つ」「きれい」という感覚だけで選ぶと、出したあとに何が効いたのか、効かなかったのかを振り返れません。反応の定義は、デザインの指示を出す段階で、制作側にも共有しておくと進めやすくなります。
DMの内容は、いくつかの要素に分けて考えると整理しやすくなります。一般に、次のような要素で構成されるといわれています。
要素が多いほど良いわけではありません。伝えたいことが多すぎると、どれも目に入らなくなります。紙面に載せる内容を決めたら、「これがなくても伝わるか」を確かめて、削れるものは削ります。
紙面は、読む人の目の動きを意識して組み立てます。
一般に、人の視線は紙面の左上から右下へ、斜めに流れやすいといわれています。左上にキャッチコピー、中央に内容、右下に反応の手段を置くと、読み進めたあとに自然と行動の入口にたどり着く形になります。これは目安であって、紙面の形や折り方によって、最適な並びは変わります。
もうひとつ大切なのは、強弱をつけることです。いちばん伝えたい言葉を大きくし、それ以外は控えめにまとめると、印象に残りやすくなります。文字の大きさ、太さ、色を使い分け、同じ種類の情報は近くにまとめます。左揃えなど、紙面のルールを統一すると、読みやすさも保てます。売り込みの色が強すぎると押しつけがましく映ることもあるため、相手の困りごとから書き始めるほうが、自然に読まれる場合があります。
同じ内容でも、相手との関係によって、効く見せ方は変わります。
すでにお取引のある相手には、これまでの関係を踏まえた呼びかけが自然です。まだ接点のない相手には、自分が何者で、なぜ連絡したのかを丁寧に伝える必要があります。表1は、相手別の見せ方の考え方です。
| 相手 | 冒頭で伝えること | デザインの方向 | 反応の手段の考え方 |
|---|---|---|---|
| 既存のお客さま | これまでのお礼と、相手に合った案内 | 親しみのある、飾りすぎない紙面 | 来店・再購入につながる特典を添える |
| 問い合わせをいただいた方 | 問い合わせへの感謝と、次の一歩 | 検討の材料になる情報を整理して見せる | 資料請求・相談の入口をわかりやすく |
| 新規(エリアで絞った相手) | 自分が何者か、なぜ連絡したか | ひと目で何の案内か伝わる、シンプルな構成 | 来店や問い合わせの動機になる特典と期間 |
| 法人・事業所 | 相手の業務にどう役立つか | 落ち着いた、情報が整理された紙面 | 担当者が社内で共有しやすい資料や連絡先 |
| 高所得層・経営者層など | 相手の時間を尊重した、簡潔な案内 | 品位のある、余白をとった紙面 | 直接の相談や限定的な案内の入口 |
(読み方: 上の行ほど関係が深く、下の行ほど新しく関係をつくる相手です。法人向けの考え方は法人・BtoB向けDMの反応率、属性で絞って届ける場合は富裕層向けDMの考え方で扱っています。)
デザインは、紙の形と一体で考えます。形によって、載せられる情報の量と、読まれ方が変わります。
紙の形を決めずに紙面だけ作ると、後で入りきらない、折ると見えない場所が出る、といった手戻りが起きます。形と構成は、同時に決めるのが安全です。
完成したら、出す前に確認します。自分では気づきにくい点も多いため、制作に関わっていない人に見てもらうと発見があります。
デザインの効果は、出してみないとわからない部分があります。はじめから多くの通数を出すのではなく、まず少ない通数で出し、反応を見て調整する進め方があります。紙面を2つ用意して、同じ条件で比べる方法もあります。届け方や測り方の考え方はDM反応率を上げる5つの視点、反応率の見方はDMの反応率はどう決まるかにまとめています。
相手の決め方、紙面の設計、制作、発送までをひとつの流れで相談したい、というご要望もあります。
当社は、ダイレクトメールを含む11の媒体を横断して、エリアと目的に合った組み合わせを設計する立場です。DMの原稿・デザイン・印刷から発送まで、一括してご相談いただけます。デザインの内容は、案件や目的によって変わるため、個別にお話をうかがいます。当社の取り組みはダイレクトメールのページをご覧ください。
圧着はがきについては圧着はがきとは、手書きの使いどころについては手書きDM(手書き風DM)の効果と使いどころもご覧ください。
テンプレートや一般のソフトで作ることはできます。ただし、見た目の前に、相手・目的・反応の手段を決めておくことが重要です。形が複雑になるほど、制作や印刷の条件の確認も必要になります。まず少ない通数で試したうえで、通数が増える段階で制作を依頼する、という進め方もあります。
受け取った人がまず目にする位置に、自分に関係があると感じられる一言を置くのが基本です。内容の説明、特典、反応の手段の順に、目の動きに沿って並べます。ただし、紙の形や折り方で最適な並びは変わるため、形を決めたうえで配置します。
どちらが優れているとは言えません。商品やお店の雰囲気を伝えたいなら写真、仕組みや手順を伝えたいならイラストや図、というように、伝えたい内容で選びます。大切なのは、写真やイラストが目的の邪魔をせず、キャッチコピーと反応の手段が目に入ることです。
決まった通数はありません。反応の違いを見分けられる程度の通数を、予算と目的から決めます。通数が少なすぎると、偶然の差か、紙面の違いかが判断しにくくなります。出す前に、何を比べるか、何をもって反応とするかを決めておくことが前提です。
紙面を作り込む前の、紙の形を決める段階で確認します。郵便として出す場合の規定は、日本郵便の規定をあらかじめ確認してください。確認が遅れると、完成した紙面が条件に合わず、作り直しになることがあります。