DM反応率

DMの反応率はどう決まるか — 目安・計算方法と、送る相手で変わるもの

「DMの反応率」を検索すると、計算式や平均的な目安を紹介するページが数多く見つかります。ただし、その大半は「自社がすでに持っている顧客リストへ送る」ことを前提にした話です。実際の現場では、宛名リストを自社で持たないまま、特定のエリアや属性に向けてDMを届けたいという相談も少なくありません。この記事では、反応率という指標の測り方から出発し、それが送る相手の設計によってどう変わっていくのかを、順を追って整理していきます。

DMの反応率とは何か、どう計算するか

反応率は、レスポンス件数(申込・来店・問い合わせなど、何らかの行動があった件数)を発送数で割り、100を掛けて算出します。式そのものは単純ですが、実務で迷いやすいのは「何をもって反応とするか」を先に決めておく点です。たとえば来店誘導のDMであれば、クーポン持参数を反応とみなすのか、専用の入電を反応とみなすのか、あるいはその両方を合算するのかによって、同じ発送でも出てくる数字が変わってきます。資料請求を目的にしたDMなら、返信ハガキの投函数か、DM限定のフォーム経由の問い合わせ数か、という切り分けが必要になります。

この「反応の定義」を計測の前に決めておかないと、後になって「今回のDMは効果があったのか」を正しく振り返ることができません。効果測定の仕組みづくりについては、5つの改善視点とあわせて後述の関連記事で詳しく扱っています。反応率という一つの数字の裏には、こうした計測設計の積み重ねがあることを、まず押さえておきたいところです。

一般に言われる目安

反応率の水準については、一般に、新規リストで0.5〜1%程度、見込み顧客リストで1〜10%程度、既存顧客リストで5〜15%程度といわれています。また、DMの開封率は一般に約8割程度といわれています。これらの数値を見ると「DMは反応率が高い媒体」という印象を持ちやすいのですが、注意したいのは、いずれの数値も「自社がすでに把握している送付先リスト」への発送を前提とした目安だという点です。

つまり、これらの目安は「関係性がある相手にどれだけ反応してもらえるか」を示すものであり、「まだ関係のない相手に新規で届ける場合にどうなるか」とは、そもそも前提が異なります。リストの質や、相手との関係の深さによって数字は大きく変動するため、目安の数字だけを切り出して自社の施策に当てはめようとすると、実態とのずれが生じやすくなります。次の項では、この「相手との関係」という軸を、もう少し具体的に見ていきます。

反応率は「誰に送るか」で決まる — 分母の設計という視点

反応率という指標は、分子(レスポンス数)だけに目が向きがちですが、実際には分母、つまり「誰に何通送るか」という設計そのものが結果を大きく左右します。既存顧客リストは、すでに取引や接点があるため反応率は高くなりやすい層です。見込み顧客リストは、資料請求や問い合わせの履歴がある相手で、その関係の深さに応じて反応率は中程度になります。これに対して、宛名リストを持たない新規の相手へ届ける場合は、さらに二つの考え方に分かれます。

一つは、特定の商圏・地域に絞って送るエリア単位の設計です。相手の属性までは絞り込めない分、反応率そのものは控えめになりやすい一方、母数を確保しやすいという特徴があります。もう一つは、公開されている情報などをもとに、高所得層や事業所といった一定の属性に絞って送る属性セグメントの設計です。母数は絞られますが、属性の適合度が高い分、一般的なエリア一斉送付よりも反応が期待しやすくなります。宛名リストを持たない場合でも、エリアで設計するか属性で設計するかによって、反応率の傾向は変えられるという点は覚えておく価値があります。

さらに、届け方そのものにも違いがあります。郵便で届ける郵送DM(宛名あり)は、個人名・法人名を宛てにでき、情報量を多く盛り込める方法です。郵便以外の配達事業者を通じて宛名入りで届けるメール便DM(宛名あり)という選択肢もあります。そして、宛名・住所のある個別リストに基づいて届けつつ、投函物自体には宛名・住所を記載しない無宛名DM(宛名なし)という方法もあります。受け手にはポスティングのように見えますが、実際には個別の住所を指定して届けている点が、次に述べる事業所ポスティングとの違いです。無宛名DMは対応可否がエリア・条件により異なるため、個別にご相談いただく形になります。なお、事業所への接触については、リストによらず配布員が対象エリアを巡回して投函する事業所ポスティングという手法もあり、これはリストを前提としない届け方として無宛名DMとは区別しています。

宛名の有無によって、反応率の読み方そのものも変わってきます。宛名ありは相手を特定した一対一に近い接触であるのに対し、宛名なしは対象を絞り込んだ範囲へ広く届ける、ポスティングに近い性質を持ちます。この違いを一覧にしたのが下の表です。

表1: 宛名の有無×相手の関係別に見る反応率の読み方

相手との関係宛名の有無反応率の目安の考え方向く目的
既存顧客宛名あり一般に5〜15%程度といわれ、関係の深さで変動継続フォロー・リピート促進
見込み顧客(資料請求・問い合わせ履歴あり)宛名あり一般に1〜10%程度といわれ、関係の深さに応じ中程度検討フェーズの前進
新規(エリア単位)宛名なし(事業所ポスティング等。無宛名DMは個別リストが必要なため別区分)一般に0.5〜1%程度が目安とされるが対象を絞り込めない分は控えめ、母数は確保しやすい商圏全体への認知形成
新規(属性セグメント)宛名なし〜宛名あり(対象に応じ個別相談)エリア一斉送付より反応が期待しやすい傾向高所得層・事業所等の狙い撃ち

※目安の数値はいずれも一般に言われる範囲であり、業種・オファー内容・送付先属性によって変動します。当社独自の実測値ではありません。(表の読み方: 上の行ほど「関係性がある相手」、下の行ほど「新規で関係を作る相手」です。関係性が深いほど反応率の目安は高くなりやすい一方、新規開拓では母数の確保や属性の絞り込み方によって反応の質が変わってきます。)

改善の順序 — まず分母、次にオファー・クリエイティブ

反応率を改善したいという相談を受ける際、一般的な視点として、①送付先設計(誰に送るか)②オファー内容(特典・条件)③クリエイティブ(訴求内容・デザイン)④タイミング(時期・季節性)⑤追客(一度で終わらせない)、という順序で整理できます。オファーやクリエイティブの改善は目に見えやすく着手しやすい反面、送付先の設計自体に無理があると、どれだけオファーを工夫しても反応率の天井は動きにくいというのが実務上の感覚です。

当社では、まず分母、つまり送付先の設計を見直すことが土台になると考えています。既存の送付先リストの質を洗い直す、あるいは新規開拓であればエリア・属性の絞り込み方を再検討する。そのうえでオファーやクリエイティブ、タイミング、追客の設計に手を入れていくという順番が、結果として効率のよい改善につながりやすいというのが、これまでの経験から得ている見立てです。

目的別に見る送り先の選び方

当社が公開しているエリアページでは、市区町村単位の商圏データ(世帯構成・年齢層・持家率など)をもとにした施策相性の考え方を紹介しています。これは送付先設計を考えるうえでの入口として使っていただける材料です。実際の案件になった際には、市区町村単位よりもさらに細かい町丁目等の単位で分析を行い、エリアを検討していくことも可能です。

目的によって、次のように読み進めていただくのがおすすめです。法人・事業所への接触を考えている場合は、法人・BtoB向けDMの反応率の記事で、事業所という単位ならではの考え方を扱っています。宛名リストがない高所得層・経営者層等への接触を考えている場合は、富裕層向けDMの考え方の記事で、属性ベースでの届け方を整理しています。媒体(郵送・メール便・無宛名DM・FAX・メール)の使い分けや効果測定の仕組みづくりを考えている場合は、DM反応率を上げる5つの視点の記事で、実務的な進め方を紹介しています。

まとめ

反応率は、送付後の工夫だけで決まるものではなく、送る相手をどう設計するかという段階で、すでに相当部分が決まっています。「反応率を上げたい」という相談を受けたときにまず確認したいのは、オファーやクリエイティブの前に、誰に届けようとしているのかという一点です。

エリア選定の考え方については、ポスティングの効果はどう決まるかの記事でもあわせて扱っています。商圏分析・エリアマーケティングの基礎から確認したい方は「商圏分析とエリアマーケティングの基礎」もご覧ください。郵送・投函とは異なる「手渡し」という接点については「街頭配布(サンプリング)の基礎」も参考にしていただけます。DMの形状の選び方は圧着はがきとはで、手書き風DMを使う場面は手書きDMの効果と使いどころで整理しています。

よくあるご質問

DMの反応率はどれくらいが目安ですか?

一般に、新規リストで0.5〜1%程度、見込み顧客リストで1〜10%程度、既存顧客リストで5〜15%程度といわれています。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、業種・オファー内容・送付先の属性によって大きく変動します。一律の数字として当てはめるよりも、まず自社の送付先がどの区分に近いかを整理したうえで参考にしていただくのがよいと考えています。

反響率の出し方(計算方法)を教えてください。

反応率(反響率)は、レスポンス件数を発送数で割り、100を掛けて算出します。計算式自体は単純ですが、その前提として「何をもって反応とするか」(購入・来店・問い合わせなど)をあらかじめ決めておくことが欠かせません。この定義が曖昧なままだと、同じ発送でも集計のたびに数字が変わってしまいます。

宛名リストがない場合、DMの反応率を上げるにはどうすればよいですか?

宛名リストがなくても、エリア単位や属性セグメント単位で送付先を絞り込むことで、一般的な一斉送付よりも反応が見込みやすい設計にできます。まず「誰に届けたいか」を整理することが出発点になります。エリアの属性を把握する材料として、当社が公開している市区町村単位の商圏データもご活用いただけます。

関連するエリア指標

このテーマを検討する際に参考になりやすいエリア指標です(当社エリアページで市区町村単位に公開しています)。

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