ポスティングの効果について調べると、「反応率は0.01〜0.3%程度」という数字によく出会います。100枚に1件反応があれば良い方、というくらいの目安として語られることが多く、他の販促施策と比べて低い数字に見えるかもしれません。ですが、この幅の広さそのものが重要な手がかりです。0.01%と0.3%では30倍もの開きがあり、同じ「ポスティング」という手段の中でも、条件次第で成果が大きく変わることを示しています。
この幅が生まれる理由は一つではありません。配布する業種、選んだエリア、配布した季節や曜日といった要因はよく語られますが、実務ではそれだけでは説明がつかないケースが多くあります。特に見落とされがちなのが、クーポンや割引、特典などの「インセンティブ」の有無です。同じエリアに同じ枚数を配布しても、特典を付けたチラシと付けないチラシでは反応の出方が大きく変わります。また、チラシ自体のデザインや訴求内容、いわゆる「クリエイティブ」も反応率を左右する要因のひとつです。手に取った瞬間に何を伝えたいのかが分かるチラシと、情報を詰め込みすぎて要点がぼやけたチラシとでは、同じエリア・同じ枚数でも結果は変わってきます。
つまり「0.01〜0.3%」という数字は、これらの複数の要因を含んだ幅のある目安であり、単独の数字として自社のケースに当てはめて判断できるものではありません。むしろ大切なのは、この幅の中で自社がどちら側に近づけるか、つまり反応率を左右する要因を一つずつ確認し、コントロールできる部分を整えていくという発想です。次の章では、その要因を具体的に見ていきます。
反応率に影響する要因は、大きく分けて5つあります。整理すると以下の表のようになります。
| 要因 | 効く場面 | 自社で決められるか | 関係する記事 |
|---|---|---|---|
| エリア選定 | 商圏内の世帯構成・住宅タイプがターゲットと合っているか | ○(データで検討可能) | 業種別に見るポスティングの効果 |
| 配布タイプ | 軒並・選別・エリア指定・事業所指定のどれを選ぶか | ○ | ポスティングの効果的な配り方 |
| インセンティブの有無 | クーポン・割引・特典を付けるかどうか | ○ | ポスティングの効果測定 |
| クリエイティブ | チラシのデザイン・訴求内容・レイアウト | ○(ただし制作の巧拙に左右される) | ポスティングの効果的な配り方 |
| 継続性 | 単発か、一定期間の複数回配布か | ○ | ポスティングの効果測定 |
エリア選定は、どの商圏に配布するかという最も基本的な判断です。世帯構成(子育て世帯が多いか、シニア世帯が多いか)や住宅タイプの分布(戸建て中心か、集合住宅中心か)によって、同じチラシでも反応の出方が変わります。配布タイプは、軒並配布・選別配布・エリア指定・事業所指定のどれを選ぶかという設計上の判断で、目的によって最適な組み合わせが変わります。インセンティブとクリエイティブは、チラシそのものの中身に関わる要因で、反応率の変動幅の大部分を占めると考えられています。特典を用意する場合は、後から効果を検証できるよう、クーポン回収数などの計測方法とあわせて設計しておくと、次回以降の改善につなげやすくなります。継続性は、単発配布で終わらせず、一定期間・複数回にわたって配布することで認知が定着していくという考え方です。
これら5つの要因は互いに独立しているわけではなく、組み合わせによって効果が変わります。たとえばエリア選定が的確でも、クリエイティブが弱ければ反応は伸びにくく、逆にクリエイティブが優れていても、ターゲットとずれたエリアに配布すれば効果は限定的になります。したがって「どれか一つを直せば劇的に改善する」という発想よりも、5つを順番に点検していく姿勢が現実的です。
配布したのに手応えを感じられない、という相談は少なくありません。こうしたケースを整理すると、原因はいくつかのパターンに分かれます。
第一に多いのが、そもそも反応を測る仕組みがないケースです。チラシを見て来店した人がいても、「何を見て来たか」を確認する手段がなければ、効果があったのかどうか自体が分からないままになります。この場合、実際には一定の反応が出ていても「効果がなかった」と誤認してしまう可能性があります。効果測定の具体的な方法は、関連記事「ポスティングの効果測定」で詳しく紹介しています。
第二に、配布エリアとターゲットが合っていないケースです。たとえばファミリー向けの商材を、単身世帯が中心のエリアに集中的に配布しても、狙った反応は得にくくなります。エリアの世帯構成を事前に確認せずに配布範囲を決めてしまうと、この状態に陥りやすくなります。
第三に、単発配布で終わっているケースです。一度きりの配布では、受け取った側の記憶に残りにくく、認知の定着には至りません。複数回にわたって同じエリアに配布し続けることで、初めて「見たことがある」という認知が積み上がっていきます。
第四に、配布タイプの選定が目的と合っていないケースです。広くカバーしたいのに選別配布で対象を絞りすぎていたり、逆にピンポイントで届けたいのに軒並配布で対象が広がりすぎていたりすると、狙った効果は出にくくなります。配布タイプの選び方については「ポスティングの効果的な配り方」で整理しています。
このように「効果がない」という状態は、単一の原因ではなく複数の要因が絡み合って生じることがほとんどです。次に、それぞれの原因をどう切り分けて考えればよいかを整理します。
反応が思わしくないとき、闇雲にやり方を変えるのではなく、以下の順序で切り分けて確認すると、原因が見えやすくなります。
| 症状 | まず疑う要因 | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| そもそも反応数が分からない | 効果測定の仕組み不足 | クーポン・専用番号・LPなど計測手段の有無を確認 |
| 反応はあるが商材への関心が薄い | エリア選定のミスマッチ | エリアの世帯構成・住宅タイプを確認 |
| 反応が毎回ほぼ同じで伸びない | クリエイティブ・インセンティブの弱さ | チラシ内容・特典の有無を見直す |
| 初回だけ良くて尻すぼみ | 継続性の不足 | 配布頻度・期間を延ばして再検証 |
たとえば「反応がない」と感じたとき、実は反応自体は一定数出ているのに、それを捉える仕組みがなかっただけ、というケースは意外と多くあります。この場合、配布内容やエリアを変える前に、まず効果測定の方法を整えることが優先されます。逆に、測定はできているのに反応数自体が乏しい場合は、エリア選定やクリエイティブに立ち返って見直す必要があります。
反応率を左右する要因のうち、当社が特にお手伝いできるのがエリア選定です。当社が公開しているエリアページでは、市区町村単位で商圏データ(世帯構成・年齢層・持家率など)にもとづく11の販促施策との相性評価を公開しています。配って終わりにするのではなく、「どのエリアに配ると、どのような傾向が見込みやすいか」を事前に確認する材料としてご活用いただけます。
公開しているデータは市区町村単位までですが、実際にご案内する段階では、町丁目など更に小さな単位で商圏を分析し、配布エリアを検討していくことも可能です。市区町村単位の公開データで大まかな方向性をつかんだうえで、実際の配布計画では、より細かい単位での検討に進むという二段階の考え方です。業種ごとにどのような指標を見ればよいかは、関連記事「業種別に見るポスティングの効果」で紹介しています。
反応率や効果の話をすると、次に気になるのが費用対効果です。ただし、配布範囲・配布タイプ・継続回数によって条件が大きく変わるため、金額の話から入るよりも先に、目的とエリアを整理しておくことをおすすめします。何を達成したいのか、どのエリアのどんな世帯に届けたいのかが明確になっていれば、見積もりの検討もスムーズに進みます。
反応率という一つの数字にとらわれるのではなく、5つの要因それぞれを点検し、エリアデータという材料を活用しながら、自社にとっての「効果が出やすい条件」を組み立てていくことが、遠回りに見えて最も確実な進め方です。
宛名のあるなしを問わず反響率を考える視点は、DMの反応率はどう決まるかもあわせてご覧ください。エリア選定の考え方をより基礎から整理したい方は「商圏分析とエリアマーケティングの基礎」もご覧ください。手渡しという接点の施策については「街頭配布(サンプリング)の基礎」も参考にしていただけます。費用の見方そのものは、チラシ配布の費用は何で決まるかで媒体ごとに整理しています。
一般に0.01〜0.3%程度といわれますが、これは業種・配布エリア・配布時期に加え、クーポンなどのインセンティブの有無やチラシのクリエイティブによっても変動する幅であり、一律に当てはめられる数字ではありません。自社のケースに近づけて考えるには、反応率を左右する5つの要因を一つずつ確認することが近道です。
効果測定の仕組みがない、配布エリアとターゲットが合っていない、単発配布で終わっているなど、複数の要因が考えられます。まず「反応が測れているか」を確認したうえで、エリア選定・クリエイティブ・継続性の順に見直すと、原因を切り分けやすくなります。
エリア選定・配布タイプ・インセンティブ・クリエイティブ・継続性の5点を順に点検するのが基本です。特にエリア選定は商圏データをもとに検討することで精度が上がります。市区町村単位の公開データで方向性をつかみ、実際の案件では町丁目単位でより細かく検討することも可能です。