街頭配布

街頭配布とポスティングの組み合わせ — 商圏設計で決める使い分け

「チラシ配り」という言葉で検索すると、街頭での手配りとポスティングの両方がまとめて語られていることがよくあります。どちらも紙のチラシを配布するという点では共通していますが、届け方の性質が異なるため、狙う目的によって向き不向きが分かれます。本記事では、街頭配布とポスティングをはじめとする各施策の役割の違いを整理し、目的に応じた使い分け・組み合わせ方を紹介します。

この記事の要点

  1. 街頭配布は「手渡し」、ポスティングは「投函」。届く相手と絞り込み単位が違います。
  2. 新規認知・サンプル体験は街頭配布、エリア全体への周知はポスティングが向きます。
  3. 同時期に重ねるなら、クーポンや問い合わせ窓口を施策ごとに分けておきます。

チラシ配り・ビラ配り・ポスティングの呼び名の整理

「街頭配布」「ビラ配り」「チラシ配り」「ポスティング」は、どれもチラシに関わる呼び方でありながら、指している範囲が少しずつ異なります。ここで一度、呼び名の関係を整理しておきます。

「チラシ配り」「チラシ配布」は、配る行為全体を指す言葉として使われることが多く、その中に街頭での手渡しと、各戸への投函の両方が含まれると考えるとわかりやすくなります。投函にあたる手法が「ポスティング」で、街頭での手渡しにあたる手法は、一般に「ビラ配り」と呼ばれることがあります。ただし呼び方の境界は厳密に決まっているわけではなく、ポスティングとビラ配りをほぼ同じ意味として説明している例も見られ、言葉の使われ方には幅があります。

当社では、街頭での手渡しにあたる施策を「街頭配布・サンプリング」と呼んでいます。紙のチラシだけでなく、試供品やポケットティッシュなどの配布もあわせて含めて指している点が、一般に言う「ビラ配り」よりもやや広い呼び方になっています。呼び名の違いを踏まえたうえで、手渡しと投函、それぞれの強みを見ていきます。

表1: 呼び名が指す範囲

語指す範囲
チラシ配り・チラシ配布配る行為全体を指す言葉として使われることが多い呼び方です
ポスティング各戸の郵便受けへ投函する手法を指します
ビラ配り街頭で通行人へ手渡しする手法を指し、紙のチラシが中心です
街頭配布・サンプリング(当社の呼び方)街頭での手渡しを指す点はビラ配りと重なりますが、チラシに加えて試供品やポケットティッシュなどの配布も含みます
(読み方: ビラ配りは、当社が街頭配布・サンプリングと呼んでいる施策のうち、紙のチラシを手渡しする部分と重なる言葉です。ポスティングとは指すもの自体が異なります。)

手渡しと投函、それぞれの強み

街頭配布(手渡し)
  • 対面での一言や表情を伴う接触ができる
  • 受け取るかは相手の意思次第。受け取られた場合は印象が残りやすい傾向
  • 駅前やイベント会場など、人が集まる場所を選んで配れる
ポスティング(投函)
  • エリア内の全世帯を対象に、面で届けられる
  • 受け取る・受け取らないの選択が相手に発生しない
  • 開封・閲読されるかは、別の課題になる

街頭配布は「手渡し」という接点が特徴で、対面での一言や表情を伴う接触が可能です。受け取るかどうかは相手の意思に委ねられますが、受け取ってもらえた場合の印象は投函されたチラシより残りやすい傾向があります。また、駅前やイベント会場のように、特定の行動をしている人が集まる場所を選んで配布できるという柔軟性もあります。

一方ポスティングは「投函」という接点で、エリア内の全世帯を対象に面で届けることができます。受け取る・受け取らないという相手の選択が発生しない分、広く均等にエリア内へアプローチできる点が強みです。ただし、投函されたチラシが実際に開封・閲読されるかどうかは、街頭配布の対面接触とは別の課題になります。

街頭配布の中でも、チラシのような情報媒体を渡す配布と、試供品(サンプル品)を渡すサンプリングとでは、狙う効果がやや異なります。情報媒体は認知や来店を促す情報伝達が主目的であるのに対し、サンプル品はその場での体験そのものが目的になります。ポスティングとの組み合わせを検討する際も、街頭配布側で何を渡すか(情報媒体かサンプル品か)によって、ポスティング側で補う内容(詳細情報の提供か、来店特典の案内か)が変わってくるため、両施策を組み合わせる段階で配布物の役割分担も合わせて整理しておくとよいでしょう。

目的別に見る使い分け

新規認知の獲得、来店促進、サンプル体験の提供、地域一斉での周知など、目的によってどの施策が向いているかは変わります。街頭配布・ポスティング・新聞折込・ダイレクトメールの4施策を、目的別に整理すると以下の表のようになります。

費用感についても、街頭配布とポスティングでは考え方の前提が異なります。街頭配布は、実施する場所・時間帯・規模(配布時間や配布人員の体制)を絞り込んで設計する施策であるため、対象を絞るほど準備の規模も相対的にコンパクトになりやすい傾向があります。一方ポスティングは、対象とするエリアの世帯数に応じて配布部数が決まる仕組みのため、カバーする範囲が広がるほど、それに比例して規模も大きくなる考え方です。どちらが総じて安価かという単純な比較はできず、「どれだけの範囲に、どのような接点で届けたいか」という目的から逆算して検討することが実務的です。具体的な条件に応じた見積りは、個別にご相談のうえご案内しています。

表2: 目的×手法の使い分け

目的街頭配布・サンプリングポスティング新聞折込ダイレクトメール
新規認知の獲得◎(特定の場所・時間帯で瞬間的に届けられる)◎(エリア全体に面で届けられる)○(購読世帯への定期的な接触)△(宛先リストの範囲に限られる)
来店促進○(店頭・駅前でクーポン等を手渡し)◎(周辺エリア全戸への告知に向く)○(購読世帯への告知)○(既存顧客への再来店促進に向く)
サンプル体験の提供◎(その場で試供品を渡せる)△(投函のみで体験は伴わない)△(投函のみで体験は伴わない)△(同封物の工夫が必要)
地域一斉での周知△(対象範囲が場所単位で限定的)◎(町丁目単位で面をカバー)○(購読世帯に限られる)△(宛先リストの範囲に限られる)
(読み方: ◎に近いほどその目的との相性が高いことを示す表です。街頭配布は「新規認知」「サンプル体験」に強く、「地域一斉の周知」はポスティングのほうが向いているというように、目的ごとに得意な施策が分かれます。)

表からわかること

この表からわかるとおり、街頭配布は「特定の場所・時間帯にいる人への瞬間的な接触」に強みがあり、ポスティングは「エリア全体への面的な周知」に強みがあります。どちらか一方が優れているというよりは、目的に応じて適した施策を選ぶ、あるいは組み合わせて使うという発想が実務では有効です。

この表はあくまで一般的な傾向の整理であり、実際にはターゲット層や商材の性質によって向き不向きが変わる場合があります。たとえば同じ「新規認知の獲得」が目的でも、通行量の多い駅前が近くにあるエリアなら街頭配布を軸にする選択肢が、住宅地が広がるエリアならポスティングを軸にする選択肢が、それぞれ現実的になりやすい傾向があります。

比較の物差しをそろえる:4つの手法をどう見比べるか

ポスティング・街頭配布・新聞折込・ダイレクトメールは、どれも紙媒体を使った販促手法ですが、比較する際にどの物差しで見るかによって、向き不向きの見え方が変わります。ここでは「届く相手」「エリアの絞り込み単位」「向いている場面」「留意点」という4つの観点から、手法どうしの違いを整理します。

届く相手は、手法ごとに違う

まず「届く相手」が手法ごとにそもそも違います。ポスティングは対象エリア内の世帯全般、新聞折込は新聞購読世帯、ダイレクトメールは宛先リストに載った相手、街頭配布はその場にいる通行人というように、相手の決まり方の性質が異なります。同じ「エリアを絞って配る」施策でも、絞り込みの対象が世帯なのか、購読者なのか、個々の宛先なのか、通りかかった人なのかによって、比較のしかたも変わってきます。

届き方と、エリアの絞り込み単位

次に「届き方」と「エリアの絞り込み単位」も手法ごとに異なります。ポスティングと新聞折込は郵便受けへの投函、ダイレクトメールは宛先ごとの郵送、街頭配布は対面での手渡しという届き方をとります。絞り込みの単位も、ポスティングは町丁目や番地といった地理的な単位、新聞折込は購読エリアの単位、ダイレクトメールは個々の住所の単位、街頭配布は駅前や会場といった「場所」そのものの単位というように、粒度がそろっていません。ポスティングと新聞折込を並べて検討する場合も、この単位の違いを踏まえておくと比較がしやすくなります。

「優れているか」ではなく、目的に合う相手・届き方で比べる

こうした違いを踏まえると、「どちらが優れているか」という比較よりも、「今回の目的にはどの相手・どの届き方が合っているか」という比較のほうが実務的です。街頭配布・サンプリングのようにその場での体験を伴う手法と、ダイレクトメールのように個別の相手へじっくり情報を届ける手法とでは、比較の土俵自体が異なる場合もあります。下表は、4つの手法を「届く相手」「エリアの絞り込み単位」「向いている場面」「留意点」の観点で並べたものです。

表3: 手法を比べるときの4つの観点

手法届く相手エリアの絞り込み単位向いている場面留意点
ポスティング対象エリア内の世帯全般町丁目・番地など地理的な単位エリア全体へ面で周知したい場面投函のため到達は均等ですが、開封されるかは内容次第です
街頭配布・サンプリングその場にいる通行人駅前・会場など場所の単位新規認知やその場での体験を届けたい場面対象は場所にいる人に限られ、手渡しのため受け取り自体が相手の判断になります
新聞折込新聞購読世帯購読エリアの単位購読世帯へ定期的に接触したい場面届く相手は購読世帯に限られるため、対象の広がりはポスティングとは前提が異なります
ダイレクトメール宛先リストに載った相手個々の住所の単位特定の相手へ個別に情報を届けたい場面宛先の把握が前提となるため、リストの精度が効果を左右します
(読み方: 「エリアを絞って配る」という点は共通していても、絞り込みの単位も届く相手も手法ごとに異なります。どの手法が向いているかは、狙う相手と届け方の性質から逆算して検討するのが実務的です。各手法の詳細は本文中のリンクからご覧ください。)

商圏設計の中で街頭配布をどう位置づけるか

街頭配布を検討する際、単独の施策として考えるのではなく、エリア全体の商圏設計の中でどう位置づけるかという視点を持つことが有効です。たとえば、エリア内の世帯全体への認知形成はポスティングで面をカバーしつつ、駅前やイベント会場など特に人が集まる地点では街頭配布で瞬間的な接触を重ねる、という組み合わせ方が考えられます。エリアの特性(昼夜間人口比・年齢構成など)を確認したうえで、面をカバーする施策と点で接触する施策をどう組み合わせるかを設計することが、単発の施策選びよりも効果的な場合があります。

具体的には、新規出店のタイミングでエリア一帯にポスティングを行い、開店日前後の駅前で街頭配布によるクーポン配布を重ねる、といった組み合わせが考えられます。あるいは、街頭配布で商品サンプルを体験してもらった通行人に対して、後日ダイレクトメールで詳細な情報を届けるという時間差のある組み合わせも可能です。

同一商圏で時期をずらす設計

  1. 事前 ポスティングでエリア全体に開店情報を届ける 面での事前周知
  2. 開店直後 駅前で街頭配布のクーポンを重ねる 点での後押し

新規出店の告知の場合の組み合わせ方の一例です。

街頭配布とポスティングを同じ商圏で実施する場合、同時期に重ねるだけでなく、時期をずらして役割を分けるという設計も考えられます。たとえば新規出店の告知であれば、まずポスティングでエリア全体に開店情報を届けておき、開店直後の来店が集中しやすい時期に駅前で街頭配布によるクーポン配布を重ねることで、面での事前周知と点での後押しを時間差で組み合わせる設計になります。逆に、街頭配布でその場の反応を先に確認してから、反応の良かった配布物の内容をもとにポスティングのチラシ内容を調整するという順序で進める場合もあります。

エリアページの指標で駅前と住宅地を切り分ける

同じ市区町村内でも、駅前とその周辺住宅地とでは、通行する人の属性や生活動線が異なります。当社のエリアページでは市区町村単位の昼夜間人口比・年齢構成などの指標を公開しており、こうした指標を手がかりに、エリア内のどのあたりが「駅前寄りの性格」を持ち、どのあたりが「住宅地寄りの性格」を持つかをおおまかに切り分けることができます。駅前寄りの性格が強い地点では街頭配布を軸にした瞬間的な接触を、住宅地寄りの性格が強いエリアではポスティングによる面的な周知を軸にするというように、地点ごとの性格に応じて主軸となる施策を分けて考える進め方が実務的です。指標をもとにした切り分けはあくまで傾向をつかむための目安であり、実際の実施にあたっては現地の状況もあわせて確認しながら計画を詰めていくことが望ましいです。

同じ商圏データで複数施策を検討するという考え方

街頭配布とポスティングを個別に検討するのではなく、同じ商圏データを土台に両者を横断的に検討するという進め方もあります。

当社では市区町村単位のエリアページで、昼夜間人口比・年齢構成・単身世帯率といった商圏データを公開しています。このデータは街頭配布・ポスティング・ダイレクトメールなど、複数の施策を検討する際の共通の土台として位置づけており、施策ごとに個別のデータを用意する形ではなく、ひとつのエリアデータをもとに「この場所ならどの施策が向いているか」を横断的に検討できるようにしている点が特徴です。

たとえば同じエリアであっても、駅前の特定地点は街頭配布向き、周辺住宅地は面的なポスティング向き、というように、地点の性格によって向く施策が分かれる場合があります。エリアページで該当エリアの指標を確認したうえで、街頭配布とポスティングのどちらを軸にするか、あるいは組み合わせるかをご相談いただく流れを想定しており、各エリアページからお問い合わせいただくことで、具体的な組み合わせ方についてご案内しています。

組み合わせる際の注意点

複数の施策を組み合わせる際は、それぞれが「誰に」「いつ」届くのかを整理し、重複や漏れがないようにすることが重要です。同じ層に同じメッセージを繰り返し届けることで認知の定着を狙う場合と、異なる層に別々の施策でアプローチする場合とでは、メッセージの作り分け方も変わってきます。街頭配布とポスティングを組み合わせる場合も、両者が同じ目的を補完し合っているのか、それとも別の目的を並行して担っているのかを整理しておくと、効果の検証もしやすくなります。

複数の施策を組み合わせて実施した場合、それぞれの施策単体の効果を厳密に切り分けて測定することは容易ではありません。

街頭配布とポスティングを同時期に行った場合、来店や問い合わせがどちらの施策によるものかを完全に区別することは難しいのが実情です。
そのため、施策ごとにクーポンコードや問い合わせ窓口を分けるなど、反応を追跡できる仕掛けをあらかじめ組み込んでおくと、組み合わせた場合でもある程度の傾向を把握しやすくなります。厳密な効果測定というよりは、次回の施策設計に活かすための定性的な振り返りとして活用するのが現実的な向き合い方です。

まとめ

街頭配布とポスティングは、どちらも紙媒体を用いた販促手法でありながら、「手渡し」と「投函」という接点の違いから、向く目的が異なります。新規認知やサンプル体験には街頭配布が、エリア全体への面的な周知にはポスティングが向いているというように、目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせるという発想が実務では有効です。

街頭配布そのものの考え方については「街頭配布(サンプリング)の基礎」で、実施の進め方については「街頭配布のやり方」で、実施前に確認しておきたい許可の考え方については「街頭配布の許可と守るべきルール」で、それぞれ詳しく紹介しています。

施策の組み合わせ方の一般論については「エリアマーケティングの手法」、エリアマーケティング全体の考え方については「エリアマーケティングの基礎」もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

街頭配布とポスティング、どちらを選べばよいですか?

新規認知の獲得やサンプル体験を狙うなら街頭配布、エリア全体への面的な周知を狙うならポスティングが向いている傾向があります。目的によって使い分ける、あるいは組み合わせるという考え方が実務的です。

街頭配布とポスティングは組み合わせられますか?

組み合わせは可能です。たとえばエリア全体へのポスティングで面をカバーしつつ、駅前など人が集まる地点で街頭配布による接触を重ねるという設計が考えられます。

手配りとポスティング、どちらが効果的ですか?

どちらが優れているというより、狙う目的によって向き不向きが異なります。対面での印象を重視するなら手配り、エリア全体への面的な到達を重視するならポスティングが向いています。

関連するエリア指標

このテーマを検討する際に参考になりやすいエリア指標です(当社エリアページで市区町村単位に公開しています)。

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